退職代行の利用、会社は就業規則で制限できるのか?
退職に関するものだからといって、従業員個々の対応についてまで詳細に会社がコントロールできる訳ではありません。
ところが実際、退職代行の利用を就業規則で禁止しようとする企業の動きが見受けられます。
退職代行のサービスとは、具体的には、退職を希望する従業員が会社に自ら辞めたいという意志表示を伝えにくい場合や、何らかの事情で会社に出向けない状況にいる従業員が、代わりに退職の意志や手続きを代行してもらうというものです。
これが非常に手軽であることから、最近ではこういったサービスを利用する従業員が急増しているのです。
この急速な流れに対して、会社側としては一石を投じるべく、就業規則に「退職代行サービスの利用禁止」を盛り込むケースも増えてきており、その是非について様々な意見が交わされています。
退職代行の利用について認められるべきかどうかは、会社の規模や業界、従業員の働き方の多様性等により異なるでしょう。
しかし、無闇に禁止するというよりは、そもそも従業員が退職代行サービスを利用しなければならない状況をなくすことこそが、より重要な課題となるのではないでしょうか。
また、従業員自身も、退職代行の利用にはそれなりのリスクが伴います。
手続きには必ず一定の手数料が発生するほか、代行業者を通じてしか退職の意志を伝えることができなくなるため、直接対話する機会を失い、有利に進められる可能性のある退職交渉を逸する可能性もあります。
退職は従業員にとって大きな一歩であるため、適切な方法で行われる必要があります。
退職代行サービスの利用を考えている従業員も、会社でも十分に意識し、適切な対応をしていくべきでしょう。
退職代行サービス:仕組みから利用シーンまで
退職代行サービスとは、簡単に言うと、「自分の代わりに退職の手続き全体を引き受けてくれるサービス」のことを指します。
退職を切り出すのに必要な勇気や、踏ん切りがつかない時にその役目を果たします。
では、なぜ退職代行サービスが必要なのでしょうか。
具体的には、以下のような状況に対応するためです。
ハラスメント問題
一つ目は、ハラスメント問題です。
パワーハラスメントやセクシャルハラスメントなど、社内でハラスメント行為を受けた人が出社を拒否した場合、代行サービスを利用することでスムーズに退職の手続きが進められます。
ハラスメント被害に遭った場合に退職の相談窓口が別であれば良いですが基本的にハラスメント当事者間で伝達しなくてはいけません。ただでさえ、ハラスメント被害で苦痛を被っているのにさらにハードルが上がってしまいます。
業務に起因する健康問題
二つ目は、業務に起因する精神的な健康問題です。
働き過ぎや過度のストレスから適応障害を発症し、会社に足を運ぶのが困難となった場合でも、退職代行サービスは助けになります。
ハラスメントも同じく出社拒否ですが、こちらもある亜美職場環境から起因する過重労働なので似ています。
上司や人間関係のトラブル
三つ目は、上司や会社の人間関係のトラブルです。
例えば、社内での争いや気まずい関係などによって、会社に居場所を失った人のために、代行サービスがあることによってスムーズに退職が可能になります。
ハラスメントや過重労働がなくてもちょっとボタンの掛け違えで関係性が悪化することはよくあります。修復を試みても改善がうまくいかず、会社に居づらくなることもままあります。
これら以外にも、退職代行サービスを利用する人々の背景には、さまざまな事情が存在します。
それらの事情を抱える人々にとって、退職代行サービスは一つの解決手段であり、頼れる手段です。
退職代行サービスは、つまり、労働者の権利を守り、精神的な負担を軽減することを目指しているサービスなのです。
もし自分が上記のような状況でもがいているなら、一度その存在を知って、自分のための最善策として考えてみてください。
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就業規則による退職代行の禁止は可能か?
みなさま、就業規則というものについてはご存知でしょうか?職場での働き方やマナーを定める、会社のルールブックのようなものです。
そこに、「退職に際しては退職代行サービスの利用は禁止する」といった表現を掲載して、退職代行を制限することは可能なのでしょうか? 答えから申しますと、残念ながら、その禁止事項に法的な効力を発生させることは難しいのが現状です。
ただし、そのような記載があること自体には何ら問題はありません。
会社側から見れば、従業員が退職代行サービスを利用することに対する制裁というよりは、マイルドな牽制、ガードとしての効果が期待できます。
しかし、なぜ退職代行の禁止が実現しづらいのでしょうか。
それは、法律上、退職を行う際に代行サービスの利用を禁じる根拠となる条文が存在しないからです。
そのため、制限や禁止ということは現実的には不可能です。
職場での働き方に影響される従業員の立場から見れば、「退職代行禁止」の一文に気を使って躊躇する必要はありません。
従業員の皆さん、就業規則とはいうものの、実際にはその条項がどういった形で実施されるか、どの程度の力を持つかを理解しておくことが大切です。
法的な拘束力がない限り、退職代行の利用は自由であるということを忘れないでください。
何か問題に直面した時、会社のルールに縛られて自分の選択肢を狭めることはありません。
選択肢を広げて考えること、前向きに解決策を探すことこそが、より良い働き方、より良い職場環境を作る第一歩となります。
皆さんの勇気ある一歩が、より良い職場環境を作る一助となることを願っています。
会社のルールと法律、どちらが優先されるのか?
ときには会社のルールや規定に戸惑うことがある何せ、それらは会社独自のルールで、法律と一致しないこともあります。
こんなとき、どちらが優先されるのでしょうか。
答えは、法律です。
例えば、退職について考えてみましょう。
ある会社では、退職代行サービスを禁止していたり、退職の申し出は1ヶ月前までにしなければならないという規定を設けている場合もあります。
でもほら、ここで問題になるのは、こんな会社の就業規則よりも国の法律が優先されるんです。
それを証明するように、民法では正社員のような期間の定めのない従業員の場合、解約の申し入れから2週間後に契約は終了すると規定しているんです。
つまり、自分が退職したい日を選ぶには2週間前に申し出れば良いというわけですね。
というわけで、会社が1ヶ月前に退職の申し出をしなさいと言っていても、それは民法の規定より優先されるわけではないんです。
また、退職代行サービスの禁止についても、会社のルールよりも、民法で許されていることが優先されます。
ですから、法律的に退職代行サービスを使って大丈夫なのか心配している従業員の皆さん、大丈夫、法律があなたの味方ですよ。
退職代行サービスの事業者も、自社のサービスの優位性を示すために、民法の規定を強調しています。
そういうわけで、いかなる就業規則があろうとも、それが法律に反するものであれば、法律が優先されるんです。
そして労働者の皆さんには、これらを知っておくことで、さらなる自身の権利を主張できるようになるでしょう。
退職代行サービスの利用に困る理由
退職代行サービスとは、退職者の代わりに退職通知を行い、退職までの一連の手続きを代行するサービスのことを指します。
しかし、このようなサービスを使用されると、人事担当者としては大いに困ります。
では、具体的にどのような点が問題となるのでしょうか。
まず、一番の理由が業務の引継ぎが滞る点です。
退職者が自ら引継ぎをする場合、連絡を前もってしているため、後任を選定し、引継ぎを行う時間が確保できます。
しかし、退職代行サービスの使用により退職通知が唐突になり、引継ぎが上手くできないケースが発生します。
これは、会社にとって大きな損失であり、特に一部の業務が一人に集中している場合には重大な問題となります。
次に、退職代行サービス利用者側も確認すべきことがあります。
近年、退職代行サービスが増えてきた反面、実在する業者であるのか、悪徳業者でないかの確認が必要になるからです。
資格がない業者も存在するため、利用者自身もサービス内容の精査が求められます。
これらを考慮すると、退職代行サービスの利用は、会社と退職者双方にとってリスクが伴うといえます。
退職は個人の自由ですが、円滑な業務引継ぎと誤った業者利用の防止を考慮し、やはり直接の退職申告が望ましいといえるでしょう。